3年前くらい、「人生最大」と勝手に銘打った出来事についての悲劇ごっこにいそしんでいた時、来年の私はどうなってるのだろう、とぼんやりと不安になりながら、近くに迫った旅行に向けて荷造りの準備をしていた。結局、旅先のカナダでは現地の食事にやられたのか、夜になると激しい腹痛に教われて、せっかくのクリスマスパーティーもローストビーフも味わうことなく床に伏せていた。それでも知らない町の空気を吸い込むのはただただ楽しかった。きりっと寒くて、曇りがちなバンクーバーの空。また行けるといいな。

舌の根も乾かぬうちに、それから一年くらいたって、一年前は名前も顔も存在すらも知らぬ人に出会って、それからまた日がたって、籍を入れた。自分磨きもしたわけでもなし、何かを諦めたりがんばったりしたわけでもなし、変わらず私はろくでなしな性格のままだった。縁があっただけなのだろう。

結婚してから、「結婚っていいよ」「結婚しちゃいなよ」って誰かに言うのって、こんなに失礼でわけのわからない話はないな、と思った。でも話の流れで言ってしまったりするときもある。何をいっても上から目線な感じに思えたし、既婚者になったからって私はやっぱりろくでなしな性格なとこも、友達がそんなにいないとこも、プライド高いくせにシャイなとこも、仕事で成功している人を極端に妬むところも何も変わってなかったから余計にそう思えた。自分の小ささを身に染みて感じながら、お世辞だとは思うけれども今の自分をいいとかうらやましいと言われることを、恥に感じてしまう。「楽しいですよ」「幸せですよ」なんて言うことにとても違和感がある。結局、こんな感想も上から発言なんだろうか。どうなんだろうか、神様。

不安や不満の種類が変わったわけではない。じゃあ何か苦労が増えたかというとそうでもない。海外旅行に行きにくくなったな、とか。自分以外の人の健康を願うようになったな、とか。きっと一人だったときも今と変わらず楽しかったし、幸せだったのだ。あぁ、そういうことを言いたかったのだ。

というわけで長くなったのですが昨日は紙婚式だったのでした。変わらず、悩みがあったり、うまくいかないことがあったり、楽しかったり、幸せだったりします。