食べ物にまつわる読み物って何冊あっても欲しくなるねぇ。漫画も本も雑誌も。

石井好子さんの書くエッセイは育ちのよさと、生活の華やかさ、にじみ出るそれらもろもろの、ぴりっとした自信とか、でも元々は純粋な食いしん坊であるというチャーミングさがいい。高山なおみさんは料理研究家だけれども、夫(しかも超個性的な)という最大の難敵に野球のピッチャーよろしく「今日はヒットかな」「はずしちゃったな」みたいな、見に覚えのある女っぽさがいい。仰臥漫録、正岡子規のねっとりした食べ物への、生きることへの執着。高野文子さんは、あはは、独身のあの気の抜けたご飯、わかるわかる。お風呂で飲むコーヒーとか、七輪で焼き鳥みたいな唐突なイベント性のあるご飯とか。今は「花のズボラ飯」の花ちゃんに首ったけ。私も卵かけご飯、豚みたいに食べるよ。

愛する人を失って食べる食卓か。何を食べるんだろう。何を食べられなくなるんだろう。私は失恋したとき、ケンタッキーばかり食べてた時期があったけ。ほんと、なんだったんだろうか。肉食って元気出そうぜというメンタリティはなんとなく理解できるけれど。

吉祥寺の百年にて。「君のいない食卓」川本三郎
(と、ココナッツディスクでスカートのニューアルバム)